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ホラーというジャンルについて

ホラー映画が好きでよく見るのですが、ホラーというジャンルはかなり作るのが難しいだろうなあ、と、見てて思います。

■ホラーを構成する2要素

ホラーと呼ばれる作品を考えた時、どの作品にも共通して二つの側面があることは、割と明証的に知れると思います。すなわち、

①感覚的側面

②論理的側面

の二つです。

 

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『雁』森鴎外著

■不健康な人たち

 

登場人物の心象風景が、普通の人たちの病的な心の側面を拡大したかのようなものが多く、作品全体に非常に危うい印象を与えていると思います。

 

とうとう一週間立っても、まだ娘は来なかった。恋しい、恋しいという念が、内攻するように奥深く潜んで、あいつ楽な身の上になって、親のことを忘れたのではあるまいかと云う疑(うたがい)が頭を擡げて来る。この疑は仮に故意に起してみて、それを弄んでいるとでも云うべき、極めて淡いもので、疑いは疑いながら、どうも娘を憎く思われない。ちょうど人に物を言う時に用いる反語のように、いっそ娘が憎くなったら好かろうと、心の上辺で思って見るに過ぎない。

それでも爺さんはこの頃になって、こんなことを思うことがある。内にばかりいると、いろんなことを思ってならないから、己はこれから外へ出るが、跡へ娘が来て、己に逢われないのを残念がるだろう。残念がらないにしたところが、折角来たのが無駄になったとだけは思うに違いない。その位なことは思わせて遣っても好い。こんなことを思って出ていくようになったのである。

 

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『方法序説』デカルト著、小場瀬卓三訳

世界史の教科書に載るレベルの有名なやつです。有名な考えるゆえにわれありを生で見たいというミーハーな動機から読み始めた本書でしたが、哲学書の中では非常に読みやすかったです。

 

■仮の格率

デカルトは真理を探すために疑えるものはすべて疑っていましたが、真理が明らかになるまでの間、拠り所とする指針がないと生活に支障をきたすということで、いくつかの格率(自分ルール)を考えました。これが短くまとまっていて結構面白かったです。第二、第三の格率がお気に入りです。

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『幸福論』ヒルティ著、草間平作訳(3/3)

■信仰について

 

本書を読んで一番強く感じたのがこの信仰に関することを考えないといけない、ということでした。まず、本書における神、信仰は哲学の対立概念です。哲学が古代から近代にいたるまで、人々が求める疑問への回答を提出出来ていないこと、に触れ、そのことをもって疑問への回答は不可能である、と結論付け、その回答不可能、説明不可能なものを「神」と名付け、神の目で疑問を理解することで、幸福に至る、というのが本書の主張(哲学の失敗から信仰の必要性に至る主張)です。

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『幸福論』ヒルティ著、草間平作訳(2/3)

ストア派

 

続きです。

 

サラダはどれほどで売られるか。多分1グロッセンぐらいであろう。さて今、ある人が自分のもっている1グロッセンを支払って、その代わりにサラダを得たとする。君は金を手離さず、何物も得なかったとする。しかし、きみはその人よりも決して少なく持っているわけではない。彼は彼のサラダを持っているし、きみはきみの手離さなかった金を持っている。

…それが有利だと思われるなら、きみはその対価を支払うがよい。しかし与えずに受け取ろうとするなら、きみは貪欲な愚か者である。

 

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『幸福論』ヒルティ著、草間平作訳(1/3)

■仕事

最近仕事のことでツキが回ってきて、機嫌よく仕事をしているのですが、そんな中幸福論と題された本作の第一章が仕事の話題で、共感するところが少なくなかったです。

 

ひとの求める休息は、まず第一に、肉体と精神を全く働かせず、あるいはなるべく怠けることによって得られるものではなく、むしろ反対に、心身の適度な、秩序ある活動によってのみ得られるものである。

働く人だけが真に楽しみと休養の味わいを知りうる…。先に働いていない休息は、貪欲のない食事と同じくらい楽しみのないものだ。

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『FRANK -フランク-』

コミカルな設定とテイストを持ちながら、人間の中の社会的な部分と反社会的(犯罪的な意味ではなく理屈を超えているという意味で)な部分の境界を問うた重厚な作品だと思います。

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