『わかる!!わかる!!わかる!!小論文&作文』坂東恭一著
■要するに
小論文を書く機会があり、読みました。一応小論文一般の参考書ということになっていますが、著者の経歴が出版社→新聞社→フリージャーナリストということで、かなり出版・マスコミ業界に特化した内容で、他の業界の選考ではまれな三題噺や、抽象的なテーマの作文の対策に紙面が割かれています。
■文章とは何か
本書には、
…そもそも文章とは何か。単語・言葉の組み合わせだろうか。文字の羅列だろうか。ある程度の長さのある文の連なりだろうか。いずれも違う。答えは、「一つのことを主張している文」だ。
さらに、
やはり一番に評価されるのは、具体的な体験を通して得た独自の「意見」や「ものの見方・考え方」である。
とあります。選考試験における小論文、作文でにおいて、求められている文は
自分の意見、考え方を「主張する」性格の文
であるということができると思います。
■選考試験における文の分類
本書で想定されている選考試験の文は主に「作文」「小論文」の二種類で、それぞれ
作文 → 書き手の性格、感受性
小論文 → 社会問題に対する知識や考え方、洞察力
を見るために課されるとされています。先述の内容と併せて考えると、
自身の性格、感受性、あるいは、自身の社会問題に対する考察力、洞察力を主張する文
を書く必要があるということになると思います。
■抽象的なテーマの書き方
抽象的なテーマは、
企業が学生に対して求めているのは、単なる一般論や抽象論ではない。「この問題に対して、私はこう考える」というように焦点を定め、自分ならではの意見を述べなければならない。
そこで、「情報化社会について」がテーマなら自分の中でテーマを絞り込んでみよう。例えば「インターネットの制限は可能か」というテーマに絞り込むこともできるだろう。つまり、漠然としたテーマを、焦点を定めた問題提起型のテーマに変えるということだ。
というように、絞り込みを行うことで書きやすくなるということが紹介されています。さらに、
抽象的なテーマに対応するコツを知っていれば、苦手意識もなくなるはずだ。コツは、テーマを、「自分にとっての○○」と考えてみることだ。
というやりかたは、日所に革新的、本質的だと思います。基本的に選考試験で期待される文は、応募者の性格や力量をはかるための文であることはまず間違いないので、「自分にとっての○○」という風に自分に引き付けて考えることでテーマに即しながら自分に関する情報を効果的に伝えることができると思います。
■結局
迷ったら、「自分にとっての○○」を考える
■ちなみに
小論文・作文全体についての総論的な内容の本なので、言えるのはここまでだと思います。すなわち、小論文、作文は応募者の性格、力量をはかるためのものだ、ということは言えても、では具体的にどのような性格、どのような方面の力量を示せばいいのか、ということにまでは言及できず、その部分は企業研究、業界研究を行ったうえでアピールすべき性格、能力のセレクトが必要だと思います。