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『サマータイム』佐藤多佳子著

本読みました。

サマータイム佐藤多佳子

 

小学五年生の「進」、彼の一つ上の姉である「佳奈」、進が仲良くなった近所の「広一」の三人の子供の視点でそれぞれの生活が描かれる短編集です。日常の出来事が子供独特の意味不明ながらも瑞々しい感性で描写され、雰囲気が素晴らしい作品です。全体のテイストとしては、勝ち気でハイステータスの女の子とその周辺の優男たちというキャスティングからもわかる通り、昭和の少女漫画のようなクラシカルな少女趣味の風情があり、そういうノリはあまり好きじゃないんですが、先に述べたように描写における感性の瑞々しさが美しく、その点は我慢できました。

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『カフーを待ちわびて』原田マハ著

読みました。全然面白くなかったです。なぜ面白くなかったのか、そこのところをわかりやすく述べたいと思います。構成は以下の通りです。

 

■主人公が優柔不断

■友人がクズ

■感情移入の問題

--『カフーを待ちわびて』まとめ--

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式典とUFO

考察しました。

 

■UFOという呼称

 

子供のころ読んだ児童書に、UFOについての記述があって、それによると、UFOはその意味としては「まだ確認できていない空飛ぶ物体」という意味で、UFOに関する情報を何一つ提供していないが、それでも名前があると人は安心する、という事でした。UFOはunidentified flying object(未確認飛行物体)の略であり、先述の通り、この名前はUFOに関する実質的な情報を何一つ提供していません(唯一意味がある部分としては、「飛行」の部分ですが、UFOを認識した時点で物体が空を飛んでいるところまでは自明なので、この情報も新奇性を持たないとすぐに知れます)。また指摘の後半部分の、名前があれば何となく安心してしまうというのも実感を伴う経験的な事実であり、人間の認識の限界を端的に指摘したという意味において、これは非常に鋭い見解だと思います。

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名前があれば何となく安心

 

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

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『我が家の問題』奥田英朗著

本読みました。

『我が家の問題』奥田英朗

 

奥田氏のこの家族小説というテイストの短編集では、前作『家日和』が素晴らしい出来だったことが記憶に新しいです。今作は前作ほどではありませんが、やはり巧まぬ味わい深さがあって、しみじみ読める素晴らしい作品です。特に素晴らしかった作品は、『夫とUFO』、『里帰り』、『妻とマラソン』の三本です。

 

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【古本愛好家の嗜み】栞コレクション

私は蔵書が基本的にすべて古本です。本は他の製品と違い基本的に新品と中古の間に質的な差異はなく、それでいて中古品は新品より極端に安いという特徴を持っています。安いという事なら図書館でもよさそうなものですが、私は本を読むときに折り目を付けたり書き込みを入れたりしたい派ですし、そうやって読み終わった本は手元に置いておきたいというのがあって、古本派に落ち着いています。古本を買い集めていると、しおりが挟んであることが割とあるので、集めていたらこんなことになってしまいました(笑)

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数えたら74枚ありました。今日はその中から特に数の多いもの、逆に珍しいものをご紹介します。

 

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エスター

観ました。

 

核心に触れないようにあらすじを言うと、養子を探している夫婦が孤児院で一人の女の子「エスター」と出会います。意気投合してエスターを養子にもらうことに決めますが、一緒に暮らすうちに彼女の狂気が徐々に明らかになっていきます。エスターと対立を深める母親と、エスターに騙されなにかとエスターの肩を持つ夫、そして最終的に破滅的な結末とエスターの戦慄の過去が明らかになる、という映画です。

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