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岡崎体育氏の楽曲『Snack』『飛び散る恋神経系』『式』考察

今、『岡崎体育』氏がアツいです。私はGINROのCMソング『割る!』がよかったのでそれから同氏の曲を聞き始めたのですが、そういうオモシロイノリのいい曲から、『鴨川等間隔』のような10-20代の感性を瑞々しく捉えた真面目系の深い曲まで手掛ける非常に幅の広いアーティストです。

現在Youtubeにてアップされている真面目系の曲『Snack』『飛び散る恋神経系』『式』について解説を試みます。

 

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

 

■Snack

 

岡崎体育 - SNACK 【MUSIC VIDEO】 - Youtube

 

この曲は、歌詞が非常に曖昧で、意味の通るストーリーや、あらすじのような形で同氏の曲を紹介することが困難です。少々強引に解釈しようとすると、この曲は「モラトリアムな中高生のフワフワした感性・心情を歌った歌」ということができるかと思います。

 

その心情が最も強く出ているのは歌詞の

ズルしてるライフか無理してるライフ

どっちか選べばって殺生じゃない

ちょっとズルして少し無理したい

甘やかされてるビニールハウスボーイ

あるいは

僕らは街の静かな糸クズ

ノリの美しきバッティングフォームや

金田のバイクに憧れたりして

夜がくれば解けてゆく

の部分でしょう。

 

直接的に心情あるいは所感を歌った上記の歌詞の周辺に、友人の名前(上記「ノリ」、「金田」)や、中高生的なアイテム(上記「バイク」、「バッティングフォーム」)がちりばめられて、また曲は終始穏やかなドラムと浮遊感のあるサウンドで進行していき、そう言った要素が緩やかに曲のベクトルを統合しています。中高生のころ仲間と管をまいた思い出のようなけだるくも穏やかな雰囲気がうまく表現されています。

 

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モラトリアムな中高生のフワフワした感性を歌った歌

 

この曲のもう一つの見どころとしては、随所で示される「委員長な女子」の存在と、曲の後半で示される委員長の彼氏の存在があります。再びかなり強引に曲を解釈すると、委員長に片思い→失恋の構図を見出せないこともないと思います。

 

例えば曲の

素晴らしい恋をしているトゥナイト

の部分や

「どうか素敵な恋をして下さい」ってな

先生の贈る言葉は4月にゃもう

みんな結構忘れちゃってる

それからみんなオトナを学んだ

の部分なんかは恋の存在を予感させる言い方ですし、

向かいの公文に委員長な女子 what

いーややこやや ティーチャーにリーク

の部分は有名な「好きな子にちょっかいを出してしまう現象」とみることができ、

寅年で獅子座の委員長もやっぱ

ボーイフレンドの前ではプッシーキャット

の部分の、委員長の干支と星座を把握していて、かつ自分の失恋を自嘲的に下品な言葉を使って表現する自傷行為なんかも非常にそれらしいです。

 

中高生の思い出を語るときに、恋、とりわけ失恋はマストなアイテムであって、失恋した時の、勝者がwalk with a swagger(肩で風を切って歩く)しているように感じるという心情の描写は見事の一言に尽きます。

 

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中高生の時の不器用で瑞々しい恋とその終焉を等身大に描いた曲

 

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■飛び散る恋神経系

 

岡崎体育【飛び散る恋神経系】無料フル試聴音源 - Youtube

 

この曲はもっとストレートに「中高生の時の不器用で瑞々しい恋」という主題を取り扱っていて、ストーリーとしては青臭いデートの話です。ピコピコ音なメロディが在りし日の幼い恋の歌詞と見事なマッチしています。

 

曲のラストでデートの最後にプレゼントを渡して告白をするのですが、

夜になりかけの夕焼け空はいつもより高かった

と聞き手に結末をゆだねている演出が見事です。この曲にMVはありませんが、核心的なシーンで映像が空にフェードアウトしている映像を空目しているような印象がたいへんドラマチックです。

 

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たどたどしい幼い恋を見事な演出で表現

 

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■式

 

岡崎体育 『式』Music Video - Youtube

 

この曲は、わがままに迷惑かけても笑っている伴侶に語り掛ける形式をとっています。大切な人との思い出を考えたときに、その人を泣かしてしまったときのことを不意に思い出してしまって、申し訳ないような、愛しいような得も言われぬ切ない感情を感じることがたまにあるのですが、その印象をこの曲を聴いた時に思い出しました。

 

ひとり洟垂る僕を叱って

の部分や、

飯を口から零して テイブルを汚して

にたついている私を許さないで

の部分には、迷惑をかけたことに対する謝罪というより自傷に近い感情が滲み出ていて、限りない共感を覚えます。

 

題名の『式』とは何を表しているのでしょうか。最初この曲を聴いた時、『四季』の読みを表しているのかと思いました。というのも、一番、二番、三番の冒頭で、

鈍色の朝

柿色の夕

雪色の夜

と、美しさを幾分抑えたシックな季節の風景描写があったからで、しかしさらに深く考えると、この朝、夕には、それ以降の歌詞でそれぞれ「朝:幼年期」「夕:老年期」の思い出、所感が語られています。そして歌詞が途中で切れる形で終わっている三番、雪色の夜に何が対応するかと考えたときに、「式」の意味は「死期」なのではないかということに思い至りました。

 

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題名『式』は「死期」の音をあらわしたものか

 

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紹介した『Snack』が収録されている同氏のセカンドアルバムはこちらです↓

 

 

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