けいおん1期より 『冬の日!』 感想
アニメ観みました。
けいおん1期より 『冬の日!』
以下感想です。
■あらすじ
■ストーリーのポイント
■主人公「唯」の存在感
--『冬の日!』まとめ--
■あらすじ
ある冬の一日に起きた、部員それぞれの椿事の顛末を描いた番外編です。主人公「唯」以外はみな用事があり、週末に鍋をする唯の誘いを断ります。用事はそれぞれ、「澪」が歌詞を書くために海に行くから、「ムギ」が人生初のバイト、「律」は弟と映画に行くから、「梓」は友人の猫を預かるため、とバラバラです。鍋は唯と妹の「憂」のみで行われることになって、週末、みんながそれぞれの用事の中で困難を抱えて苦労しているところに、唯から絶妙のタイミングでふざけたメールが届き、結局部員全員が集まる、というストーリーです。
■ストーリーのポイント
ストーリーの前半、それぞれが個人的に抱えた用事のことを考えて、みんな心ここにあらずの体で、部室に集まっても(唯が来るまで)会話はなく、孤独で寂しげな印象です。週末それぞれの用事をこなす中で、律が弟と別れ、
郵便受けに投函されたラブレターのことを考えた後に
それぞれがそれぞれの用事で失敗や困難を感じ始めます。つまり、ストーリー全体を使って律の心の動揺、不安を表しているわけで、最近のアニメ、漫画によく見られるダイナミックな表現が見事に決まっています。この後の展開で、その状況で唯から部員全員にふざけたメールが送られ、不安や動揺を抱える各人がそのメールを見ることで一息つくことができるのですが、それは次の章で述べます。
ストーリーのダイナミズムが律の心境の変化を表している
■主人公「唯」の存在感
唯がみんなにメールを送ったことで、みんなの問題が解決に向かうか、あるいは適切に事後処理ができたかしたわけで、つまり唯のメールがみんなの救いになったということができます。何が救いだったかというと、その気楽さ、唯のペースが救いだったのです。その後みんなが結局集まることになったのも示唆的で、まさにストーリーの中心で、主人公らしい主人公ということができると思います。
ちなみに、2周目以降に見た時には、終盤みんなが集まりかけているファーストフード店内の会話における唯の発言
皆私を置いて大人にならないでよね
は本作のメインテーマに触れた重要な発言です。ここではまだ部員は高校2年生と1年生で、高校生活の終わりが意識の中になく、したがって、この「大人になる」というテーマについても屈託なく口にすることができます。しかし回を追うごとにこの「大人になる」ということ、それに伴う別れというのはのっぴきならない問題になっていきます。ここで唯が「私を置いて大人にならないで」というとき、それは唯の個人的な意見としての発言というだけではなく(当然唯もいつか卒業しますから)、高校生活そのもの、あるいは、軽音部そのものの意見としての発言になるのではないでしょうか。現実的には唯は軽音部のムードメーカであっても、軽音部そのものではありません。しかし先ほど律の感情変化が他の部員の困難と渾然一体となって立ち現れている例を紹介したように、この作品においては、一人の登場人物の感覚や挙動は、同時に軽音部全体の感覚や挙動たりえるのではないか(そういう表現技法が許されているのではないか)と思います。そしてその軽音部全体の感覚を語る部員が先に述べた圧倒的存在感を持つ唯であることは、極めて自然です。こう考えると、唯はマイペースなムードメーカであるだけでなく、軽音部の高校生活を体現する存在として意識されると思います。
マイペースさが救いになる存在
軽音部にとっての高校生活を体現する存在
--『冬の日!』まとめ--
重要な点は、
ストーリーのダイナミズムが律の心境の変化を表している点
唯のマイペースな性格がみんなを救っている点
唯が軽音部にとっての高校生活を体現する存在である点
の三点です。