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女性専用車両に性的魅力の乏しい女性が乗ることに対する批判

考察しました。

 

構成は以下の通りです。

■イントロ

■女性の心理

■問題の言説

--まとめ--

 

■イントロ

 

先日、女性の知り合いから、女性専用車両に乗りたいけど、「お前如きが何意識して女性専用車両乗ってんねん」と言われそうで怖くて結局女性専用車両に乗れない、という話を聞きました。この、「お前如きが何意識して女性専用車両乗ってんねん」という女性専用車両に乗ろうとしている女性に対する言説が今回の考察のテーマです。

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「お前如きが何意識して女性専用車両乗ってんねん」という言説

 

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

■女性の心理

 

まず、この言説が女性にとって、自身の保身のために女性専用車両に乗ることを諦める程度に脅威になっていることがわかります。痴漢されたくない女性でも、痴漢する価値がない、とは言われたくない、というのがあるとわかります。言い換えれば女性にとっての理想の状態は、痴漢から見て痴漢する価値はあるけど、何かしらの要因によって痴漢され得ない状態であるということです。女心の深遠さをよく表した非常にファジーなバランスであると言えます。

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女性にとっての理想の状態は、痴漢する価値はあるけど、何かしらの要因によって痴漢され得ない状態である

 

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

■問題の言説

 

「お前如きが何意識して女性専用車両乗ってんねん」という言説そのものを詳細に見ていきます。この言説は、意訳すると、当該女性が、女性専用車両に乗るという特段の対策を講じなくても、女性的魅力の乏しさゆえに痴漢する価値を有していない、という意味であると解することができます。この言説は、客観的な真実を含んでいます。この言説が指摘する通り、性的魅力に乏しい女性が痴漢されにくいということには一定の正しさが認められ、痴漢を回避するという意味では女性専用車両に乗る必要性が薄いということになります。

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性的魅力に乏しい女性は痴漢されにくいので、女性専用車両を利用する必要性が薄い

 

これと構造上の類似性を持ち、しかし逆の立場の言説として、「容姿に劣る男性が服装髪型その他の身だしなみを整えることを女性が嘲笑する論調の言説」が考えられます。容姿に劣る男性が、女性から愛されにくいというのは一面の真実なので、当該男性の努力は無駄になる可能性が高い努力であると結論付けられます。

 

あるいは頭の悪い人が勉学を収め大学に通うことを無駄と嘲笑する言説、または社会的に無能な人が自己啓発本を買ってセミナーに通うことを無駄と嘲笑する言説もこれに類する言説です。この言説の亜種を考えていくとどんどん生きづらくなっていくのがわかると思います。この言説は最終的に人生の意味に論理的説明を加えられない人間が生きる努力をすることは無駄であるという極論に行きつきます。

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人生に意味はないので、生きる努力に意味はない

 

最初の言説に戻ると、言説を弄する発話者自身も、そういう無駄になる可能性を秘めている権利の行使を行っているはず(先に述べた不細工のオシャレや、バカの勉学や、無能の自己啓発本)です。だから、この言説は自分のことを棚に上げたダブスタであると言えます。無駄な努力を一切したことがないハイスペックな人(はこんな行儀の悪い言説を弄しないと思いますが)でも、生きる意味を説明することなしにのうのうと生きているので例外ではありません。

 

女性の無駄な努力を嘲笑しながら無駄な努力をするダブスタ

 

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

--『女性専用車両に性的魅力の乏しい女性が乗ることに対する批判』まとめ--

 

結局、問題の言説は発話者が発話者の人生の中で無駄な努力を演じてきた可能性が高く、そうでなくとものうのうと無駄な人生を謳歌している以上、ダブスタにならざるを得ないという事でした。

 

イントロで紹介した懸念から女性専用車両に乗ることをためらってしまう女性は、批判してきた男性が、モテたい一心で似合わない衣装とヘタクソな演奏でバンド活動をしているところを想像すると(男性は多かれ少なかれこれに類する黒歴史を持っているものです)人類が少し愛おしくなるのでオススメです。

 

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