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『夢をかなえるゾウ』水野敬也著

本読みました。

『夢をかなえるゾウ』水野敬也

 

以下感想です。

■あらすじ

■みどころ

ハウツー本そのものの存在意義への言及

■ドッヂボールをする子供の気持ち

--『夢をかなえるゾウ』まとめ--

■関連する作品

 

■あらすじ

 

何となく大卒でサラリーマンをしている自分を変えたいと思っている主人公のもとに、インドのゾウの神様「ガネーシャ」が現れ、成功するためのマインドと実践をレクチャーしていく話です。実践方法と実践の基盤となる考え方がセットとなって一つの章を構成していて、それらがガネーシャの関西弁の語り口で分かりやすく解説されています。

 

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

■みどころ

 

教えに沿ったストーリーの起伏も用意されていて、ただマインドを説くハウツー本以上の読みやすさがあります。さらにほかのハウツー本と違うところは、ハウツー本を読むという行為そのものに言及している部分がある点です。

 

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

ハウツー本そのものの存在意義への言及

 

ガネーシャは終盤になって、「自分の教えはほかの成功書にすでに書いてある」といい、自分を変えるために必要なことは、「行動して、経験すること」であるといいます。

 

「ワシが教えてきたこと、実は、自分の本棚に入ってる本に書いてあることなんや。ワシの教えてきたことには何の目新しさもないんやで…(中略)…自分、この本最初に読んだ時、今と同じように今と同じように興奮してたんやで。変われると思って自信持っとった。なんでか分かるか?」「それは……なぜですか?」「それはな、この本に期待してたんや。『この本なら自分を変えてくれる』そう思っとった。だから興奮してたんやな。今の自分もそれと同じなんや。自分はワシに期待しとる。『この神様なら僕を変えてくれる、どこか今までとは違う場所に連れてってくれる』ってな。せやろ?」

 

読書していると、「この話は別の本にも似たようなことが書いてあったな」というのがよくあります。これは、この本が言っている、「成功の法則自体はすでに明らかになっている」という主張を裏付ける経験的な事実だと思います。正しいことは明らかになっていてどこかで見聞きしたことがあるはずなのに、実践する機会があっても教えと違う行動をとってしまい、結果として成功しない、というのが多くの人のパターンだというわけです。

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現実が変わらない原因は、「実践」の不足

 

また上に出てくる「期待」というのは曲者です。人生や将来に何かしらの期待があるから、人は日々生きていけるという事情があって、期待は人生の幸福に資するいい面も持っていますが、悪い面もあります。次に述べる小学生のドッヂボールの逸話でそのことが語られています。

 

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

■ドッヂボールをする子供の気持ち

 

小学生の時ドッヂボールするのは楽しかったのに、仕事はなぜ面白くないのか、というテーマについて語られる一幕があります。

 

「小学校の時ドッヂボールやったり缶蹴りやっとって、自分がどないみられてるか、どないな評価されてるか、そんなこと考えとったか?」「いや、まったく考えていませんでした」「せやろ。当たり前や。それは、ドッヂボールいう『作業』が楽しかったからなんや。繰り返すで。仕事は作業や。せやから、仕事で幸せになりたかったら、自分が一番好きな『作業』を選ばんとあかん。どんだけでも続けられる一番好きな『作業』を仕事にするんや。それが正しい仕事の選び方や」

 

仕事を選ぶときは、小学校の休み時間なにで遊ぶかを選ぶときのようには決められません。それは、自分の仕事に対して自分のブランドを向上させてほしいという期待があるからです。しかし実際は、小学校の休み時間なにで遊ぶかを選ぶときのように仕事も選ばなければならないとこの本は主張しています(作業として面白いものが正しい選択なので)。このように期待というのは仕事選びをするときに選択者の足を引っ張ってしまう結果になってしまいます。

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作業として楽しい仕事を選択することが正しい選択

仕事に対する期待がその正しい選択を阻害する

 

周りの評価よりも個人の作業の楽しさが重要というのは覚えがある話です。学生時代、私は軽音楽部に所属していたのですが、その中でも演奏の上手いメンバーは、何時間でもぶっ続けで練習していました。何時間もというのは比喩ではなく本当に何時間も、13:00-22:00まで休みなく、という意味です。そのさまを見て彼らには追い付けないなと思ったのと同時に、自分が軽音楽部を選んだ理由に「何となくカッコイイから」「何となく楽しそうだから」という理由が確かに存在していたことに思い至ったのでした。仕事においても状況は同じで、年収や知名度は少なくても、作業が楽しければ、残業やスキルアップが苦になりにくく、成績も上がりやすいと想像できます。そうすれば社内での昇進やより大規模な同業他社への転職と言った次のステップが見えてくるでしょう。スタート地点は現状より後ろでも、作業を楽しんでいる生き方は、地位にしがみついて楽しみなく漫然と暮らす現在よりも充実し、納得感のある人生だといえると思います。

 

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--『夢をかなえるゾウ』まとめ--

 

本書をまとめると、

 

期待だけして実践しないのが成功しない原因

仕事は作業なので、作業が楽しいことを突き詰めていくといい

 

ということになります。

 

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■関連する作品

 

今回紹介した作品はこちらです。

 

 

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