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ドヤれる蔵書7選

最近立て続けに割と人気のある作家さんの本を読みました。「夜は短し歩けよ乙女」(森見登美彦著)、「凍りのくじら」(辻村深月著)、「少女は卒業しない」(朝井リョウ著)などなど…。皆さん人気のある作家さんだけあって、非常に読みやすい。作品のテーマも身近なもので、文章もわかりやすくエンタメ性に富んでいます。ただ一つ問題があるとすれば、

 

ドヤれない。

 

※ドヤるというのは・・・

ここでは「こんな本読んでるんだゾ」と知人友人にドヤ顔で紹介することを指します。

 

全然ドヤれない。これは考えてみれば当たり前で、人気のある本というのはみんなが読んでいる本であって、教育レベルも忍耐力も様々な読者から幅広い支持を集めているということは、そういう能力が乏しい人でも比較的読みやすい本という事なのです。ドヤろうとしたってみんなすでに読んでます。そういう本は友人との話題性においてはそのエンタメ性を十分に発揮しますが、ドヤるということになると途端に沈黙してしまいます。

 

そこで、今まで読んだ本の中からドヤれそうな本をセレクトしてみました。どれもドヤれてかつ読みやすいものです。

 

 

■一、『東京夜話』(いしいしんじ著)

 

『東京夜話』いしいしんじ著 - H * O * N

 

いしいしんじ氏は、しばしば非論理性を伴った前衛的な作品を書く作家ですが、彼の著書の中でもこの『東京夜話』は短編集で、彼の持ち味である芸術性を前面に出した作品もあれば、世にも奇妙な物語的な不思議系の作品もあり、普通に純愛モノや青春物もあったりと、かなり幅広い内容の本です。そんな本書のスタイル、すっきりまとまったタイトル、美しい装丁、そして微妙な知名度、どれをとってもドヤれる本となっています。

 

■二、『塩狩峠』(三浦綾子著)

 

『塩狩峠』三浦綾子著 - H * O * N

 

本書は日本の文豪枠です。志賀直哉だと逆に直球すぎ、また志賀直哉はそんなに読みやすくもないので、ここはあえて外しの三浦綾子です。本ブログでは一度言及したのですがちょっと宗教色が強く、また作者の願望がにじみ出ていて気味が悪いという欠点はありますが、古風な時代背景の中、主人公の信仰の在り方が無宗教の現代人の人生の意義を問いかける重厚な作品です。

 

■三、『堕落論』(坂口安吾著)

 

『堕落論』坂口安吾著 感想 - H * O * N

 

これも日本の文豪ですが、作品ではなく文学論です。ドヤる蔵書を語るうえで文学論は絶対外せません。坂口安吾は本書の中でお高く止まって美のイデア然とした顔をしている形式主義や既存の芸術をボロクソに批判しています。ですので今回の記事の趣旨である「ドヤるための蔵書」という形式主義の権化のようなコンセプトとは水と油です。本書をちゃんと読んだ人が見たら見破られますので人を選んでドヤってください。

 

■四、『O・ヘンリ短編集一、二、三』(O・ヘンリ著)

  

 

『O・ヘンリ短編集(一)~(三)』O・ヘンリ著 感想 - H * O * N

 

海外文学枠です。海外の文豪と言えば不自然な訳のせいで作品全体の雰囲気がギクシャクしている印象があります。本書とて例外ではなく、ギクシャクはしているのですが、それを差し引いても読みやすいです。ハッピーエンドな話が多く言いたいことがすっきりしているからだと思います。こういう海外文学はシリーズ数冊セットで並べておくとドヤ感が増すので3冊まとめて置いておくのがおすすめです。

 

■五、『阿Q正伝』(魯迅著)

 

『阿Q正伝』魯迅著 より『孔乙己』 - H * O * N

 

海外文学枠その2です。魯迅は先述のO・ヘンリのような親しみやすさや明快さはありませんが、作品の主題や背景に風情や演出のうま味があって、別の意味で読みやすいです。装丁が新しくカッコよくなっている文庫版が出ているようですが、ドヤりたいという趣旨なら版は古いほうが効果的だと思います。

 

■六、『幸福論』(アラン著)

 

哲学枠です。ドヤるなら哲学もこれはマストです。哲学の中でも「幸福論」というジャンルは比較的読みやすいです。このアランの幸福論は、2,3ページほどのプロポ(哲学断章。コラムみたいなもの)の寄せ集めで、意味の切れ目がわかりやすく、非常に初心者向けです。哲学ということでいうと「自由論」とかのほうがよりドヤれますが、こちらは幸福論に比べて難易度が跳ね上がるのでお勧めできません。

 

■七、『水いらず』(サルトル著)

 

これも哲学枠です。サルトルは文学者寄りの哲学者で、この作品も哲学書というよりはサルトルの思想に基づいて書かれた小説というべき内容です。本記事で紹介したほかの作品に比べると若干難解ですが、名作と言われている短編「壁」は読む価値ありだと思います。

 

--まとめ--

 

ちなみに本棚に並べてみるとこんな感じになります。↓ドヤ感がすごい(笑)

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※本記事に記載の情報に基づいた行為により被害(友達が減った、振られた)をこうむられたとしても管理人は一切の責任を負いません。ドヤる行為はご自身の責任と判断のもとに行ってください。