永遠について_1/2
上記考察しました。(1/2)
構成は以下の通りです。
■きっかけ
■永遠の命
■有限の時間
--永遠について・まとめ--
■きっかけ
『引き寄せの公式』山富浩司著という本に、日常の幸せを感じる方法として、「今日が世界最後の日だと思う」という方法が紹介されていました。そういう風に考えて生きていると、たとえばその日が雨でも、遊びに行けないからイヤだと思うのではなく、雨降りの景色の美しさに感動でき、周囲の人や家にある家具家電や、天候や自然といったものにまで同じ調子で感動・感謝できるという方法だと書いてありました。
今日が世界最後の日と思うと、日常の幸せが見えてくる
これはなかなか面白い考え方だと思いました。これと同じような感覚には覚えがあって、世界が終わる系のSF映画などで、敵対していた人同士が抱き合って生きていることを喜び合うシーンがあったように思いますし、卒業式の日、普段嫌々登っていた通学路の坂道が愛おしく感じられるというような歌詞があったようにも思います。卑近な例だと、実家に帰省している最後の一日に、急に実家のゲームがやりたくなるような感覚とも似ているのではないでしょうか(笑)。
実践としては上の本の記載を紹介した箇所の通りで、やり方としても本で紹介されている方法は完成されていると思います。日常生活に使っていくときはそういう心構えで日々を生きていけばいいと思います。ここからは、座興がてら「永遠」ということについて考えてみます。
■永遠の命
古代中国を統一した秦の始皇帝は、その晩年、不老不死の妙薬を欲したと伝えられています。横山光輝氏の『史記』か『項羽と劉邦』あたりに始皇帝のエピソードが少し紹介されているのですが、海の向こうの仙人が不老不死の妙薬を持っていると話す怪しい道士に始皇帝が会い、彼に金銀財宝を乗せた船を貸し与えて仙人の下へ送り出すのですが、その道士はその船でそのまま日本に逃亡して、始皇帝はだまされたと悔しがったとか、各地の滋養強壮料理を取り寄せて、その中には食べ物か怪しいものまで含まれていて、結局その毒にあたって死期を早めただとか、今で言うウマイ投資話の詐欺や、健康食品の健康被害のようなことを当時に舞台を変えて演じていたことがうかがえます。
当時の中国の皇帝というと、情報の貧困によって中国の外のことなどはうかがい知れないこともあって、客観的に見ても始皇帝の主観で見ても自他共に認める勝ち組だったのだろうと思います。不老不死を求めるというのは、その意識の表れです。世俗のトップとしてほしいものは何でも手に入り、欲望が生まれればたちどころに満足される環境で、欲望が最後の活路を見出したのは「永遠」だったということになります。始皇帝の普段の生活には不満な点など一切なかった、仮に不満な点が生まれればそれはすぐさま解決され、今現在においても将来的にも不満が生まれ得ない人生になった、しかしこの満足が永遠に続かないことは不満である、というわけです。
永遠の命は欲望の最後の避難場所
技術的に不老不死が可能になり、実用化されると、次に人間の欲望の避難場所はどこになるのかというのは興味深い問題ですが、やはり始皇帝の生活態度から学ぶべきことは、世俗のトップに上り詰めても不満は存在するということではないでしょうか。まあほとんどの人は始皇帝ほどには成功できないので天下統一よりだいぶ前の段階で自身の不満にぶち当たることになりますが、それでも限界を前に不満に感じているという点において、われわれも始皇帝も状況は同じですし、もっというと幸福度も同程度なのではないかと思います。われわれも始皇帝も、それぞれの限界を前にして同程度に「不機嫌」なのではないかと思うのです。
以前何かの本で、日本人の主婦に現在幸せかアンケートをとったところ、「基本は幸せ、でもちょっと不幸」という回答が圧倒的多数だったという話がありました。何不自由ない日常と些細なうまくいかないことがあって、後者が気になっている心情を見事に言い表したセンテンスだと思います。永遠の命を求めているときの始皇帝は、きっとこの「基本は幸せ、でもちょっと不幸」だったのだろうと思います。天下は統一して人類で一位になれて幸福、でもいつか死んじゃうのが心配、というわけです。
始皇帝も日本の主婦も、「基本は幸福、でもちょっと不幸」
世俗のトップがそんなメンタリティですので、世俗的な欲望を満足させていくことはどん詰まりなのだと予想できます。少なくとも不老不死が技術的に不可能である状況の現代においては、どこまで成功しても始皇帝と同じ限界、同じ幸福度の状況になり、その幸福度はそれほど高くない、といえます。永遠の考察というところに話を戻すと、永遠は今現在手に入らない状況も合わせて世俗的な欲望の終着点になっているといえます。
世俗的な欲望の満足させていく道のりは、永遠が手に入らない不満足で終わる
長いので分けます。
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