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『小さいことにくよくよするな!』リチャード・カールトン著 感想

本読みました。

『小さいことにくよくよするな!』リチャード・カールトン著

 

以下感想です。

■あらすじ・概要

■人生の目的は、すべてをやりとげることではない

■気分をコントロールする

■戦うなら賢く

■自慢に走ると、成功を自分で喜べなくなる

--『小さいことにくよくよするな!』まとめ--

 

■あらすじ・概要

 

本書は1ページから2ページほどの長さの考え方が100項目紹介されており、全体を通して、小さいことにくよくよしないことの効用が説かれているという構成になっています。その効用とは、日々を心穏やかに生きることができるようになることです。教えとしては、上座部仏教の教えに近いと思います。基本的に世界はフラットなのに自分のエゴに基づく認識や欲望がその世界を困難に満ちたものにしてしまうという主張、その状況に対する対策として、瞑想やヨガ、自分のネガティブな感情にとらわれずにそれにストップをかけることを推奨するという方法論などが上座部仏教的です。以下、共感した教えについて解説します。

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エゴに基づく認識や欲望がフラットな世界を困難に満ちたものにしてしまう

 

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

■人生の目的は、すべてをやりとげることではない

 

これは本書の中で何度か出てくる考え方で、本書では「あなたが死んでも、やりかけの仕事は残る」という表現で述べられています。本書ではすべてをやりとげることを目的とするのではなく、「その一歩ずつの過程を楽しみながら、愛情のある暮らしを送ること」を目的とすべきだと述べられています。一歩ずつ過程を楽しむ、というのが、今、この瞬間を生きるという態度につながってきます。不安を抱えることは、将来起こるかもしれないことでくよくよすることであって、今この瞬間を生きているとは言えません。「今この瞬間」の積み重ねが人生なのだから、今この瞬間を使って将来の心配をすることをやめましょうというのが本書の主張です。本書ではジョン・レノンの言葉を借りてこう述べられています。

 

人生は、僕らがほかの計画を練っている間に過ぎていくんだよ

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今この瞬間の積み重ねが人生である

 

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

■気分をコントロールする

 

本書では、気分の落ち込みについても触れられています。本書の基本的なスタンスは、小さなことでくよくよしないことなので、基本的に気分の落ち込みは一過性であるとされています。これは小さい原因によっておこる気分の落ち込みについての話ですが、本書では人生の気分の落ち込みのほとんどが小さい原因から生まれていると指摘されていて、それはほとんど当たっていると思います。暗い気分は「放っておけば自然に消滅する人間の宿命的感情」で、正しい対処法は、落ち込みに対して抵抗しない、取り乱さないことです。具体的な方法論としては、「10回深呼吸すること」「瞑想すること」が提案されています。

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暗い気分は、一過性の宿命的感情

 

逆に、暗い気分に対する間違った対処法は、真剣にとらえること、原因を分析すること、脱出しようと努力することです。自分は暗い気分に直面した時ほとんどこの方法か、あるいはただ無意味に取り乱し抵抗するという方法で対処していたので、ここの記載は目から鱗でした。

 

暗い気分に対する正しい対処……

受け入れる、あわてない、気にしない、リラックスする、気分が去るのを待つ

暗い気分に対する誤った対処……

真剣にとらえる、問題を分析しようとする、脱出の努力をする

 

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

■戦うなら賢く

 

これは、解決しようと努力する問題を、解決しがいのある問題に絞れという意味の教えです。究極的には、人生の問題すべてを小さいことと割り切って、心の中の平安にのみ焦点を当てて日々を過ごせればいいのですが、すぐにはそうもいかないので、折衷案的にこの教えを使うことになると思います。自分の悩んでいる問題をリストアップして、解決しがいのあるもの、ないものを分類してみると、起きる確率は低いが起きるかもしれない問題、過去失敗した問題が意外に多いことに驚きました。5分ぐらいの作業でしたが出てきた問題の3分の2(6個中4個)がそれらに類する問題でした。この問題は解決がほとんど不可能で、かつ解決する意味もないものだとすぐにわかります。本書で教えられていることはこれらの問題と戦うこと(くよくよする、思い悩む)をやめて、解決しがいのある問題に取り組むほうがいいということです。

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悩みを分類して、解決しがいのある悩みに集中的に取り組む

 

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

■自慢に走ると、成功を自分で喜べなくなる

 

これは最近友人に聞いた「内的な喜びが外的な成果に駆逐される現象」に当たるものだと思いました。この現象を示す逸話として、友人は野球少年と老人の話をしていました。以下に引用します。

 

あるところに老人がいました。老人は、近所の空き地で野球をする少年たちが疎ましく、野球をやめさせたいと思っていました。ある日、老人は子供たちのところへ出かけていき、こう言いました。「私は野球を見るのが好きで、いつも君たちの野球を楽しく見させてもらっている。いつも野球をしてくれてありがとう。今日はそのお礼にお小遣いをあげよう」老人は子供たちに200円ずつお小遣いをあげ、野球が始まるたびにお小遣いをあげ続けました。そんなある日、老人が言うことには、「いつものようにお小遣いをあげたいのだが、生活が苦しく、申し訳ないが今日からはこれで我慢してくれ。」老人は子供たちに100円ずつお小遣いをあげ、また野球が始まるたびにお小遣いをあげ続けました。さらにある日、老人が言うことには、「大変申し訳ないが、お金がもうないのでお小遣いは上げることができない。もしよかったらこれからの野球を続けてくれることを楽しみにしているよ」老人がなにもくれずに帰った後、子供たちは「お小遣いがもらえないなら野球をする意味がない」と言い合い、それ以降野球するのをやめてしまいました。

 

この寓話では、野球をするという内的な喜びが、お小遣いという外的な成果に駆逐される現象が述べられています。自慢に関しても事情は同じだと思います。他者からの承認という外的な成果を求めると、成功した時の内的な達成感や自分の取り組みに伴って生まれた喜びは駆逐されてしまいます。寓話では外的な成果が不足する状況が(お小遣いを減らしていくことによって)人為的に作り出されていましたが、現実世界では、外的な成果は不足していることが多いです。外的な成果のみに依って物事に取り組んでいると、その不足感の中物事に取り組むことになり、それでは取り組みが長続きしにくくなってしまいます。もしそれが自分の本当にやりたいことや好きなことであれば、それは悲劇といえるでしょう。内的な喜びは、無目的で外的な成果にたやすく蹴散らされてしまいますが、いつも朗らかな気分があります。子供たちは外的な成果を知らずに野球をやっている時が最も野球の喜びに近かったということです。物事に取り組むときは内的な喜びに依って取り組むほうがいいので、外的な成果を極力意識しないことが重要で、これは具体的な方法としては、自慢しない、ひいては他人の目を気にしないことということになると思います。

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他者承認を意識することをやめ、内的な喜びが大きいことに取り組む

 

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

--『小さいことにくよくよするな!』まとめ--

 

本書を三行でまとめると、こういうことになります。

 

暗い気分は基本的に一過性のものなので、解決しようとせず過ぎ去るのを待つ

悩みを分類して、解決しがいのある悩みに集中的に取り組む

成果は自慢せず、内的な喜びに依って取り組む

 

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆