『the TEAM』井上夢人著
本読みました。
『the TEAM』井上夢人著
以下感想です。
■あらすじ
■チームワークの美というジャンル
■矛盾
--『the TEAM』まとめ--
■あらすじ
インチキ霊感商法で生計を立てるチームが事件を解決していく話です。チーム構成はクライアントの住居に侵入したり尾行したりしてクライアントの情報を探る担当の「草壁」、パソコンを使って、不正アクセスの手法でクライアントの情報を探る「藍沢」、集められた情報を霊感によって知ったと語り霊能力者を演じる「能城」、チームの顔としての能城とチーム全体のマネジメントを行う「鳴滝」の四人です。
インチキ霊感商法チーム
■チームワークの美というジャンル
この作品の見所は、草壁と藍沢の仕事ぶりだと思います。ニッチでダークな領域のプロフェッショナルが専門性発揮する様が渋いです。チームの中で各人が自己の持ち味を発揮しているさまを見所としている作品というと攻殻機動隊をまず思い出しますね。横山光輝氏の三国志や項羽と劉邦なども、各国陣営の将が自分の得意な部分を活かして天下統一をしようとするという意味で上記の面白みがあると思います。
■矛盾
上記のような面白さがあってエンタメ小説としては楽しめたのですが、内容に矛盾している部分があって気になりました。本作ではチームが相談者の問題を、巨悪に鉄槌を下す形で解決する終わり方が多いのですが、そもそも自分たちが霊感詐欺集団であるという部分が矛盾を抱えています。鉄槌を下す判断も、盗撮犯→鉄槌、非合法盗撮AVを市場に流したビデオプロダクション→スルー(鉄槌なし)、匿名掲示板で嫌いな相手の個人情報を書き込み→鉄槌、不倫→スルーと気分次第の印象です。本書の最後のほうで、結局被害者が救われたからOKというような趣旨のことが述べられていますが、これは明らかな結果論であって、DQN返し(いわゆる私刑)の擁護に当たると思います。
そもそもチームがこの商売を始めたのも行きがかり上であって、食べていくために詐欺やって、ムカつくやつがいたらしばく、というような、平たく言うとそういうような状態になっていると思いました。別に絶対に正義を執行しなければならないとは思いませんが、勧善懲悪の義賊を書きたかったのか、裏社会でしたたかに生きる最高に渋いチームを書きたかったのかよくわかりませんでした。
結局のところ詐欺集団が気分次第で勧善懲悪
--『the TEAM』まとめ--
まあ、エンタメ小説なんでその辺のことを深く考えずに読めば面白いと思います。手軽にスカッとできてお勧めです。