『「友達いない」は"恥ずかしい"のか』著:武長脩行
本読みました。
『「友達いない」は"恥ずかしい"のか』著武長脩行
本書は、孤独でいられること、あるいは孤独の中で行われる精神作用を幸せに生きるために必要な活動と位置づけ、孤独の効用とその実践のためのヒントが記載されています。
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ラフ・メイカーにみられるリアリティ
■【前置き】創作におけるリアリティ
先日友人と話しているときに、創作が名作たり得るにはリアリティが必要である、という話が出ました。このことには確かに同意できるのですが、それがなぜそうなのかというところについてはその時はわかりませんでした。このことを前置きで記載するのは、この曲を考察した時に、先述の、創作の中のリアリティということがより明確に意識されたからです。順を追って説明します。
続きを読む『Butterflies』作詞・作曲:藤原基央
BUMP OF CHIKENの最新アルバム『Butterflies』を聞きました。当該アルバムは2016年2月発売で、ファンとしてはあるまじき1年遅れでのフォローアップなのですが、これが傑作でした。管理人はBUMP OF CHIKENのファンで、中学生のころから聞いているのですが、今回のアルバムは、ここ10年スパンで見ても最高の出来、というかファン歴がちょうど10年ぐらいなので管理人のファン史上最高と言ってよい出来だったと思います(最初にバンプを聞いた時の遥か昔の感動を今現在の感動と比較することは困難ですが)。
バンプっぽい最高にシャレオツな言い回しや10年前から進化し続けているサウンドは収録の全曲随所にちりばめられていましたが、特によかった作品は、『流星群』、『宝石になった日』、『You were here』の三曲です。
『モーパッサン短編集Ⅰ』(著:モーパッサン、訳:青柳瑞穂)
本読みました。
訳者である青柳瑞穂氏によるあとがきに、非常に的確なモーパッサン評がありました。
彼の師フローベールは、読書と思索に、己の資源を求めていたのに反し、モーパッサンは生活そのもののなかに求め、生活の沼から手づかみに泥をすくいあげて、それをそのまま原稿用紙の上にぶちまけたという感じだ。
これが非常に言い得て妙で、作品の中には日常風景のただのスケッチにとどまるような、いわゆる「オチがない系」のものが割とあります。道で紐を拾ったことで泥棒と間違えられ、それが名誉と意地の騒動に発展する『紐』、資産家の独身老人の遺産を目当てに、その家に娘をバイトにやる『木靴』などはまさにそうで、それ単発で読んでも意味が通りにくいです。その意味ですべての短編がよく練られていない、荒削りの印象があるのですが、そんな日常の風景の中にふいに感動するような自然の描写や登場人物の心の動きが現れ、これが読み手に取って非常な感動をもたらします。自然体な作風ゆえに、その美が全くの偶然に、ありのままの姿で(作者が意図していたかどうかは定かではありませんが)描写されていると読み手は感じます。
荒削りな作品の中に不意に現れる美
特に面白かった作品は、『アマブルじいさん』、『悲恋』、『椅子なおしの女』の三篇です。
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