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本の感想詰め合わせ

最近読んだ本が面白いか面白くないか微妙なラインで、何となく感想を書きあぐねていたらそれが溜まっちゃったんでまとめてテキトーにレビューします。

 

メニューは下記の通りです。

『ポプラの秋』湯本香樹実_著

『漁港の肉子ちゃん』西加奈子_著

『月光スイッチ』橋本紡_著

『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』ジェーン・スー_著

--まとめ--

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『ミノタウロスの皿』藤子・F・不二雄著

本読みました。

ミノタウロスの皿』藤子・F・不二雄

 

ドラえもんで知られる藤子・F・不二雄氏の短編集(漫画)です。異世界や時間旅行などが頻出し、SF的な作品が多いです。SFを舞台演出や小道具として使って何を書くのかというと、その中でも実際の現代社会と変わらずあり続ける人間のエゴやおたがいが分かり合えない様で、ブラックユーモアやシニカルな笑いにあふれた作品になっています。キャラクターがドラえもんオバQ(こちらは本作の中に後日譚が出てきますが)の、あのコミカルでかわいらしいデザインにもかかわらず、しかし随所で驚くほど怒りや悲しみ、憎しみと言ったネガティブな方面で表情豊かで、そのギャップが本作の毒を効果的に演出していて、また作者の漫画家としての技術の高さが伺えます。

 

特に面白かったのは、『じじぬき』、『ミノタウロスの皿』、『劇画・オバQ』の三篇です。

 

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浜辺の手

家族で海辺に旅行に行った時のことです。海辺の民宿に宿をとり、両親と弟二人と一緒に5人で砂浜に遊びに出ました。あいにく天気はどんよりとした曇りで、空には分厚く暗い雲、海は緑、波はわずかで、浜辺にはほかの客もまばらで、あいにくの状況でしたが、私たち家族の家は内陸にあり、海が珍しくて、はしゃいでいたように思います。私と二番目の弟、お守りの父は海に入って泳ぎ、母と末の弟は砂浜に立てたパラソルの下で休んでいました。

 

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『サマータイム』佐藤多佳子著

本読みました。

サマータイム佐藤多佳子

 

小学五年生の「進」、彼の一つ上の姉である「佳奈」、進が仲良くなった近所の「広一」の三人の子供の視点でそれぞれの生活が描かれる短編集です。日常の出来事が子供独特の意味不明ながらも瑞々しい感性で描写され、雰囲気が素晴らしい作品です。全体のテイストとしては、勝ち気でハイステータスの女の子とその周辺の優男たちというキャスティングからもわかる通り、昭和の少女漫画のようなクラシカルな少女趣味の風情があり、そういうノリはあまり好きじゃないんですが、先に述べたように描写における感性の瑞々しさが美しく、その点は我慢できました。

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『カフーを待ちわびて』原田マハ著

読みました。全然面白くなかったです。なぜ面白くなかったのか、そこのところをわかりやすく述べたいと思います。構成は以下の通りです。

 

■主人公が優柔不断

■友人がクズ

■感情移入の問題

--『カフーを待ちわびて』まとめ--

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式典とUFO

考察しました。

 

■UFOという呼称

 

子供のころ読んだ児童書に、UFOについての記述があって、それによると、UFOはその意味としては「まだ確認できていない空飛ぶ物体」という意味で、UFOに関する情報を何一つ提供していないが、それでも名前があると人は安心する、という事でした。UFOはunidentified flying object(未確認飛行物体)の略であり、先述の通り、この名前はUFOに関する実質的な情報を何一つ提供していません(唯一意味がある部分としては、「飛行」の部分ですが、UFOを認識した時点で物体が空を飛んでいるところまでは自明なので、この情報も新奇性を持たないとすぐに知れます)。また指摘の後半部分の、名前があれば何となく安心してしまうというのも実感を伴う経験的な事実であり、人間の認識の限界を端的に指摘したという意味において、これは非常に鋭い見解だと思います。

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名前があれば何となく安心

 

  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆

 

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『我が家の問題』奥田英朗著

本読みました。

『我が家の問題』奥田英朗

 

奥田氏のこの家族小説というテイストの短編集では、前作『家日和』が素晴らしい出来だったことが記憶に新しいです。今作は前作ほどではありませんが、やはり巧まぬ味わい深さがあって、しみじみ読める素晴らしい作品です。特に素晴らしかった作品は、『夫とUFO』、『里帰り』、『妻とマラソン』の三本です。

 

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