『ミノタウロスの皿』藤子・F・不二雄著
本読みました。
ドラえもんで知られる藤子・F・不二雄氏の短編集(漫画)です。異世界や時間旅行などが頻出し、SF的な作品が多いです。SFを舞台演出や小道具として使って何を書くのかというと、その中でも実際の現代社会と変わらずあり続ける人間のエゴやおたがいが分かり合えない様で、ブラックユーモアやシニカルな笑いにあふれた作品になっています。キャラクターがドラえもんやオバQ(こちらは本作の中に後日譚が出てきますが)の、あのコミカルでかわいらしいデザインにもかかわらず、しかし随所で驚くほど怒りや悲しみ、憎しみと言ったネガティブな方面で表情豊かで、そのギャップが本作の毒を効果的に演出していて、また作者の漫画家としての技術の高さが伺えます。
特に面白かったのは、『じじぬき』、『ミノタウロスの皿』、『劇画・オバQ』の三篇です。
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式典とUFO
考察しました。
■UFOという呼称
子供のころ読んだ児童書に、UFOについての記述があって、それによると、UFOはその意味としては「まだ確認できていない空飛ぶ物体」という意味で、UFOに関する情報を何一つ提供していないが、それでも名前があると人は安心する、という事でした。UFOはunidentified flying object(未確認飛行物体)の略であり、先述の通り、この名前はUFOに関する実質的な情報を何一つ提供していません(唯一意味がある部分としては、「飛行」の部分ですが、UFOを認識した時点で物体が空を飛んでいるところまでは自明なので、この情報も新奇性を持たないとすぐに知れます)。また指摘の後半部分の、名前があれば何となく安心してしまうというのも実感を伴う経験的な事実であり、人間の認識の限界を端的に指摘したという意味において、これは非常に鋭い見解だと思います。
名前があれば何となく安心
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